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♯68 一発
2007-02-26 Mon 22:12
・・・長い沈黙。

明らかに様子の変わったリョウタは・・・シュウに拳を振り上げた。

「・・・ちょっと!リョウタらしくないよ!シュウ、大丈夫?」
フェナが沈黙を突き破り・・・声を出す。
「・・・」
シュウは何も言わない。

ただでさえ、ケンのことで自己嫌悪に苦しんでいるのに、今度はリョウタに殴られた。

「リョウタ!」
マコトが再び止めに入る。
「だめだよ!」
ユウもとびつく。
「リョウタ!いい加減にしなさいよ!」
ハナミもくっついた。
「どうしたんだ?!いってみなよ!」
アキトも必死だ。
「いつもと違うでしょ?」
アミまでもが止める。
「正気なの?」
ヒカリもリョウタの手を掴む。

・・・6:1でかかれば、さすがに止まると思った・・・しかし・・・

「・・・うるさいんだよ!!何が分かるんだよ?!」
リョウタが叫ぶと・・・みんな、あっけなく飛ばされる。
「なんなの?!マコト!リョウタって、あんなに力持ちなの?!」
ハナミが聞く。
「そこまで力ねぇよ、あいつは」
マコトが答える。
「・・・やっぱり大騒ぎになった・・・」
ユウがつぶやく。
「正気に戻せないの?」
アミが聞く。
「それができれば苦労しないよ・・・」
アキトが情けなく答えた。

「オレ・・・オレは・・・もう、イヤなんだ!!」
リョウタが一人で叫び始める。
「・・・どうしたんだ?言わないと、分かんないだろ」
シュウは、冷静にリョウタに聞く。
「・・・・・・アイツだけは・・・アイツだけは・・・!とらないでくれよ!!」
そう叫んだ瞬間・・・リョウタは拳を振り上げ、気が付けば、シュウの上に馬乗りになっていた。

「・・・」
みんな、何もできない。
「オレは、アイツの傍にいたいだけなんだ!それを、とらないでくれよ・・・!」
途切れ途切れに叫んだ言葉を発するうち・・・リョウタは何回、シュウを殴っただろうか。
「もう・・・もう・・・」
リョウタは、ひたすら叫んでいた。

いつもと違う・・・。
アイツって誰?・・・

周りは、なんとも言えない空気に包まれる。
・・・みんな、悲しい、困り果てた顔をしている。

「どぉすりゃぁいいんだよぉぉぉぉおおお・・・」
リョウタが叫んだとき・・・

バンッ!!

・・・今までとは違う効果音。

「いい加減にしろ!叫んでばっかで、何か変わるわけじゃないだろう?!」
さっきと体勢が逆転し・・・シュウはリョウタを押さえつける。

「・・・!」
みんなの顔が・・・いっきに驚きの顔になる。
シュウが人を殴るなんて、誰も思いもしなかった。

「オレがいなくなれば、お前の大事なものが手に入るなら・・・死んでやるよ。だけど・・・正気じゃないお前の言いなりになる気はない。他のヤツ等だってそうだ。お前を正気に戻そうと必死なのに・・・自己主張ばっかするのはやめろ!!正気じゃないお前を、お前の大事なものが望んでると思うのか?!」
・・・冷静さの中に、周りを思う優しさのつまった言葉。これは、シュウらしい言葉だろう。
「・・・」
リョウタはおとなしくなる。

そうだ・・・相手にかわってもらうんじゃない。自分がかわらなきゃいけない・・・。

「リョウタ・・・」
フェアが近づいてくる。

そうだ。こいつもだ。こいつも、心配してくれてる・・・。

「オレ・・・」
リョウタが口にしたとたん・・・黒いものが現れた。
「何者だ?!」
アキトが聞く。
「憎しみのかたまり・・・くそ・・・作戦失敗・・・」
「リョウタを操ったのは、あんたね?!」
ハナミが聞く。
「そうだ・・・」
「そうと分かれば・・・ウルトラ体、出動!」
アキトが言う。
「あたしたちも!」
ハナミがマコトに言う。
「分かってるよ!」
マコトが答えた。

「・・・場所を変えよう・・・」
「あ、まて~!」
かたまりが動くと・・・みんなが追いかけた。
・・・残ったのは、カエデ、シュウ、リョウタの3人だ。

・・・沈黙が続いた。

「・・・オレ、いくわ。ハハハ・・・なんか迷惑みたいだしな!」
リョウタは捨てゼリフを言うと・・・走り去って行った。

「・・・ケガ・・・したでしょ?」
カエデが言葉を発する。
「大したものじゃない」
そっけなく言葉を返すシュウ。
「いいから!・・・右腕なんか、大量出血じゃない!ほら、手、出して」
カエデはリュックから、救急セットを取り出す。
「・・・シュウ、甘えちゃいなよ。ケンが死んだのは、シュウのせいじゃないんだし!あ、カエデは知らないね。実は、ケンが死んじゃったんだ。それでシュウ、自己嫌悪になっちゃって・・・」
フェナの話の論点はずれていく。
「フェミ、先いこうか」
フェナは気を利かせて、フェミに言う。
「うん」
フェミがうなずくと、2人は先に行った。

「・・・赤川の、大事なものって・・・お前のことじゃないのか?」
シュウが突然口を開く。
「・・・え?」
カエデは、間をおいて言う。
「いや、普通に見てれば分かるっていうか・・・」
シュウは、リョウタとカエデの言い合いを知らないはずなのに・・・あっさりとリョウタの気持ちを読み取った。
「そんな・・・そんなわけないじゃない・・・」
カエデは必死に否定する。
「・・・そっか。お前が違うっていうなら、別にいいんだけど・・・」
シュウは、ため息をついて言った。

「覚えてる・・・?あたしが、シュウのこと、好きだって言ったの」
カエデが突然聞く。
「・・・あぁ、アミとトラブった日だろ。・・・それが?」
シュウは冷静に答える。
「それが?って・・・それで、シュウのことが好きだから、お返事をいただきたいと・・・」
いつの間にか、敬語になるカエデ。
「オレは、赤川には、かなわない」
「え・・・?」
シュウの言葉に・・・不思議がるカエデ。
「だって、お前のために・・・オレのこと何発殴ったんだよ。それほど好きってことだよ。・・・好きとか嫌いとか、よくわかんねぇけど・・・アイツならお前を幸せに出来る」
シュウはカエデを見て言う。
「・・・」
カエデは黙り込む。
「お前はさ、幸せになりたいだろ?」
「・・・うん」
「じゃぁ、もう・・・オレとぐちゃぐちゃ話してる暇はないだろ。好きな人のために、なんでもやる赤川のところに行ったほうが、お前は楽になる」
シュウの言葉で・・・カエデの何かが目覚める。

・・・いつだったかに感じた・・・リョウタが離れていくような感覚・・・。あれは、リョウタを好きな自分が、どこかにいたっていうこと・・・?

幸せになりたい・・・。誰もが願うこと。

シュウへの好きが・・・リョウタへの好きに変わっていく。

「・・・そうだね。あたし、リョウタがいいのかもしれない」
カエデは微笑む。
「リョウタがあたしをどう思っていても・・・大切だもん」
カエデは、まっすぐリョウタと向き合うことを誓った。
「先行くね!・・・ありがとう。振り回してごめんね」
カエデはそう言うと・・・夢に向かい、走って行った。

「・・・うまくいくといいな~って思ってる?」
・・・フェナが出てきた。
「なんでいるんだよ。もう一匹はどうした」
「先いってもらった」
フェナは意地悪そうに笑う。
「なんかさ、シュウの言葉って、すごいね。一発がすごい効くっていうか」
フェナが言う。
「別に」
「だって、カエデの気持ちを変えちゃうんだもん。そのきっかけを作るって、すごいと思うよ」
「おだてても、なんにもでてこないぞ」
「分かってるよ」
フェナは苦笑い。
「これで、シュウの恋愛知識が増えたね。あ~安心」
フェナが言う。
「いくぞ」
「早っ」
とっとと先に歩くシュウ。追いかけるフェナ。

・・・今思ったら、シュウって誰かを好きになったとき、ちゃんと好きだって気づけるのかな・・・?

フェナはそんな疑問を抱いた。
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