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♯38 決意
2006-12-24 Sun 22:43
誰もが驚く・・・黒い、暗い空。
そこには・・・妖精の世界が映し出される。

「・・・なに・・・これ」
カエデが驚くように言う。

世界中の人が・・・同じ空を見て、驚いている。

『みんな!大変なことになってるんじゃ!』
シュウのパソコンから、フーミン、ハーミンの声。
「どうなってんだよ?!このへんな空!」
リョウタが問い詰める。
『それが・・・妖精の世界と、人間の世界の間がゆがんで・・・つながってしまったらしいんじゃ。このままでは・・・無数のフェアリーモンスターが・・・』
「なんだって?!」
みんなが叫んだ。
『あと24時間で、ゆがみが・・・24時間いないに・・・お前さんたち、妖精の世界にきてくれ!そうすれば、ゆがみが直るかもしれん』
「いこうぜ!」
リョウタがすかさずいう。
「うん」
みんなうなずいたかに思えたが・・・

「いやよ!あたしはぜったいにいかない!」
ハナミだけ、反対していた。
「なんでだよ、いかねぇとヤバイんだぞ」
リョウタが手を差し出す。
「だって!私たちはこうして人間界に帰ってきて、不自由なく暮らしてるじゃない!なのに・・・なんで命がけで世界を守るの?!安全を求めるのは、当たり前じゃない!」
ハナミが叫んだ。
「ハナミ・・・それは分かるわ。でも、私たちがこの世界に帰ってこれたのって・・・妖精がいたからじゃない?今度は私たちが・・・」
カエデが助言をかける。
「でも・・・戦ったら・・・必ず犠牲が出ちゃう。そんなのイヤ!なんでわざわざ犠牲をだしに戦うの?!あたし・・・イヤ。これ以上、誰かが死んだり、ケガしたり・・・そんなのイヤ。あたし、普通の生活がしたいだけなのに・・・それのどこがいけないっていうのよ?!」
ハナミが涙を流す。
「ハナミ・・・」
ハナミの中にあった大きな意思に、みんなは圧倒されるばかり。
「なんで?!証の子供になったんだから戦いなさい。普通の生活はできませんよ・・・って!なにそれ!そんなのどこのだれがいつ決めたっていうの・・・」
ハナミは荒い息をたてた。

「・・・じゃぁ、明日7時。・・・ちょうど今から23時間後。もう1度戦おうとおもったら・・・このドームにきてくれないか」
シュウが言った。
「・・・」
ハナミが黙る。
「・・・ハナミ。・・・オレ、まってるからな!」
リョウタが笑顔で言う。
「えぇ。ずっと」
カエデも声を出す。・・・みんながうなずく。

「君たち!今すぐ降りてきなさい!」
「警察?!」
下の方から・・・警察の声。
「その横にとんでいるヘンなものはなんだ?!」
警察が、妖精を指差す。
「やっべ!逃げるぞ!」
リョウタを先頭に・・・みんなが走り出す。
「うわぁああん!ヘンっていわれた~」
フェミが泣き出す。
「泣いてる場合じゃないでしょ!」
カエデがフェミをポケットに押し込める。


・・・児童公園

「なんとか・・・まいたみたいだな」
アキトが息を切らして言う。
「はぁ~、親におこられる・・・」
リョウタはへろへろしている。
「各自解散にしないか?家に戻らないと」
マコトが言う。
「だな・・・じゃ、明日、夜7時!」
リョウタが言うと・・・みんな家に帰っていく。


・・・寮

「シュウにいちゃぁん」
みんながシュウとアミにとびつく。
「おばあちゃんは・・・?」
一人の子がいう。・・・2人は顔をひきつらせる。
「・・・あのね・・・おばあちゃんは・・・もう・・・」
アミはそこま言って・・・泣き崩れる。
「・・・いなくなっちゃったの・・?」
4年生の男の子が聞く。
「・・・」
シュウは黙ってうなずく。
「・・・あはぁあああああん!」
みんなが泣き出す。
「大丈夫だ・・・お前らは・・・オレが守る」
シュウが言い聞かせるが・・・自分に言っているようにも聞こえる。
(でも・・・明日から・・・コイツらどうすれば・・・)
シュウは悲しみにくれるヒマもなく・・・なんとかできる場所を探そうと必死だ。
「・・・どうしたの?」
アミが必死に言葉を発する。
「どっか、コイツらを預けられるところないかな・・・」
シュウが電話帳を調べる。
「あたしの・・・おじいちゃん、おばあちゃんの家は?」
アミが言った。
「いいのか・・・?」
「うん」
アミが電話に近づき・・・電話番号を入れる。

「あ、もしもし。寮のものですけど・・・はい。それで・・・・・・・・・・あ、分かりました。明日の・・・」
シュウが相手と電話を終え・・・電話を切った。
「明日、夜7時にドーム前だって」
「それって・・・あの時間と同じ・・・」
アミがいいかけて、あわてて口を閉じる。
・・・涙に暮れた一夜だった。


・・・そのころ

「アキトちゃま!!!!宿題やってないザマスね!」
「ごめんなさぁああああい!」
「全く!宿題終わるまで外出禁止ザマス!」
「おねがい!明日でかけさせて!どうしても!オネガイこのとーり!」
「ダメザマス!OKしてほしいなら、成績上げるザマス!」
「そんな~」
アキトはとぼとぼしていた。

そのほかの皆も・・・最後となるかもしれない家庭で・・・最後の晩餐をすごしているのだ。


・・・ハナミ部屋

「・・・そんな・・・あたし・・・どうしたらいいの?」
ハナミは迷いにくれた。

コンッ・・・

窓になにか当たる。

「・・・誰?」
ハナミがカーテンを開ける。
「おりてこいよ」
そこには・・・マコトの姿。
ハナミは、屋根をわたり・・・そっとおりてくる。
「よくそんなとこから降りてくるな、女だろ」
マコトが冗談半分で言った。

・・・なにもすることなく・・・歩く町。
近くのベンチに腰を下ろす。

「・・・決まったか?」
マコトがハナミに聞く。
「分からないの。なんで戦わなきゃいけないのかって、おもうこともあるし・・・でも、この世界がこのままなのもイヤで・・・」
ハナミが手を握って言う。
「・・・正直いって、オレだって疑問になることだってある。こんなことして得するのか、ってよ。でも、今、オレのとなりにいる妖精の世界が終わるって考えるとな」
マコトがハナミを見つめる。
「お前だって、コイツに助けてもらったこと、あるはずだ」
マコトが真剣な瞳で言う。
「それは・・・あるわよ」
ハナミがぶすっ、という。
「それで、お前、コイツに何かしてやったか?」
マコトが再度聞く。
「そんなの・・・」
ハナミが顔を上げる。

「・・・してない」

ハナミが声を小さくして言う。

「オレもしてない。みんなもしてないはずだ。だから、明日恩返しにいくんだろ。それに行くか行かないかだよ。コイツらが命がけでおれたちを助けたように、オレたちが命がけで助ける番なんだよ。それをどうするかはお前しだい」
マコトはそういうと・・・立ち上がった。

「・・・なんでこんなこといいにきたのよ」
帰り道・・・ハナミが聞いた。
「気分?ってのは嘘だよ。本当は・・・」
マコトの顔が、再度真剣になる。
「・・・」
ハナミが黙り込む。
「あ、お前んちだ」
マコトはころっと表情を変える。
「もう!なんなのよ~!!」
ハナミがぶすっ、とする。
「はいはい。それじゃぁ」
マコトはそういうと・・・帰っていった。


・・・ハナミの部屋

(あたしは・・・いくべきなの?それとも・・・)
ハナミはベッドで迷う。
「ハナミ~」
フェンが隣に来る。
「・・・お休み」
ハナミはそういうと・・・電気を消した。


・・・次の日

「・・・外が・・・まだ暗い・・・?」

時計は朝8時。なのに・・・外は、昨日の不気味なまま。

(本当に・・・たいへんなんだ・・・)
ハナミが冷や汗をかく。
(あたし・・・)
ハナミは目を見開いた。


・・・夜7時

「・・・ハナミ・・・くるかな」
リョウタが心配そうに言う。
「分からない。でも、あのこのことだから・・・」
カエデが言葉をためらう。
「はやくしないと、お母さんに見つかっちゃう!」
アキトはあせる。


「みんなぁあああ!!」
聞き覚えのある声。
「ハナミ!」
リョウタが振り返る。
「なにいってんの?僕だよ。ユウだよ」
なんとリョウタの見間違い!
「バカすぎ・・・」
カエデが笑う。
「なんだよ~わらうことないじゃん・・・」
リョウタがひねくれる。


「みんなぁあああああ!!ごめぇえええん!」
・・・どこからか・・・聞こえる声。
「あたし、いく!」
その声は・・・
「ハナミ!」

「きてくれたのね」
カエデが言う。
「うん。あたしが、フェンになにかする番だとおもった。みんながいれば・・・大丈夫」
ハナミの強い声に・・・みんなほっとする。

『みんな!フェアッチをかかげるんじゃ!』
シュウのパソコンから、フーミンが言う。
「・・・こうか?」
アキトがうでを高く上げる。・・・みんなもマネをする。

「なにこれ・・・」
ユウが驚く。
「オーロラ?」
カエデが不思議そうに言う。
『この中に入れば・・・妖精の世界じゃ!』
「よっしゃー・・・」
「まちなさい!!」
聞き覚えある声。

「母さん!」
「お父さん!」
「お母さん!」
・・・みんなの両親だった!・・・それに、寮の子供。

「なんで・・・」
「なんでじゃない!みんなしていなくなるから、ストライキでもおこしてんのかとおもってきてみたら・・・ヘンなとこに行くのなんか、許しません!」
大人がもう反対!
「いかせてくれよ!世界のため・・・いや・・・オレのためなんだ」
リョウタが言う。
「あたしも・・・オネガイ!」
カエデも頭を下げる。
「ユウは・・・オレが守る。だから・・・いかせてくれないか」
「ボク、いくよ。お兄ちゃんのお母さんも・・・許して!」
マコトがユウのおかあさんにも頼む。ユウも頼んだ。
「帰って来たら、ドリル何ページでもやるよ!だから・・・このとおり!」
アキトが手を合わせる。
「あたし・・・みんなに恩返ししたい。・・・お願い」
ハナミが頼む。
「シュウ兄ちゃん、アミおねえちゃん、いっちゃうの・・・?」
「お前たち!このためにわしをよんだのか?!」
アミのおじいちゃんは猛反発。
「お願いします。アミは・・・アミは必ず守ります。寮のみんなも・・・お前たちも・・・ちゃんとやってくれよ」
「お願い!あたし・・・あたし、行きたいの!!無事に帰るから!寮のみんなも・・・元気でね」
シュウとアミも・・・必死に頼む。寮のみんなにも。
「・・・ヒカリ」
ヒカリのお父さんが・・・そっと近づく。
「いくのか?」
「・・・うん」
「母さんが・・・嫌いか?」
「好きだけど・・・いえない」
ヒカリはためらう。
「そうか・・・母さんがこういっていたぞ。『ミキのことばかりでごめんなさい。病気が治ったから、こんどはヒカリを大事にする』と・・・」
ヒカリは涙を流した。
「・・・それでも・・・いくのか?」
父親の真剣な声。

「ヒカリ~!」
みんなが呼ぶ。・・・みんな何発かはたかれた末・・・許しをもらった。
「ヒカリ・・・親にいくなっていわれてるわよ」
カエデが言う。・・・みんなが沈黙。
親も、2人の会話を聞いた。

「・・・お母さんがなにを思っても・・・あたしは行かなきゃいけない。この世界にもどってきたら、何かが変わる気がする。・・・自分の何かが・・・変わる気がするから」
ヒカリはそういうと、背中を向ける。
「・・・そうか」
「・・・・・・・ありがとう」
ヒカリは最後にそれを言い残し・・・みんなのところへ向かった。

『みんな・・・準備はよいか?』
フーミンが聞いた。
「・・・いくぞみんな!」
「オ~~!!」
みんながオーロラに入る。

・・・どんどん空を飛んでいく。

「必ず帰ってきて・・・」
親はみんな座り込み・・・泣き続ける。
そんな親を・・・みんな見ていられなかった。


あの上に・・・妖精の世界がある・・・


みんな、なにかを決意したかのように・・・目をつぶった。
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