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♯23 手と手
2006-12-08 Fri 21:31
「こっちだよ!」
地下に進むにつれ・・・ユウに焦りが見える。
「いやぁん・・・土だらけできもちわるい・・・」
「こんなときに文句いうなよ!」
ハナミの文句に、アキトが言い返す。
「ここを曲がれば・・・?」
ユウの足が止まる。
「どうした?」
マコトが聞いた。
「・・・マウスピットが・・・いないの・・・」
ユウの声がふるえる。
「まさか・・・ジバクコウセン・・・」
アキトがつぶやく。
「縁起でもないこと言うな!」
リョウタが荒々しく叫んだ。
「もう少し進んだらどうだ?」
シュウが口を開く。
「うん・・・」
ユウが進みだす。

「・・・もうだいぶ歩いたけど・・・あ!」
ユウが叫ぶ。
「どうしたの?!」
カエデが前へ出る。・・・ユウの足はふるえている。
「あ・・・」
マコトがユウの目を隠す。
・・・そこには、あまりに変わった・・・ヒカリの姿。
口で言えば、体中から血があふれるようにでていて・・・数箇所のアザがある。・・・骨折もしているに違いない。
「ヒカリ?!ヒカリ!」
リョウタが近寄る。
「生きてるの?!生きてないの?!・・・生きてないなんていわせないから!生きてるわよねっ?!ねぇ?!」
ハナミはもう涙目。
「とにかく、ここからでないと、敵に見つかるぞ」
シュウが言った。
「とりあえず、外に出てから対処しよう」
アキトはそういうと、先頭に立つ。
変わり果てたヒカリを抱えて・・・みんなはメカデントから出た。


・・・森

「シュウ、アキト、大丈夫そうか・・・?」
リョウタはさっきから、この1文の繰り返し。
「ちょっとまてって。親が医者だからって、僕は医者じゃないんだから・・・シュウだって、寮のみんなの手当てを経験してるとはいえ、これだけのケガの対処はしたことないみたいだし・・・」
アキトがリョウタを説得するように言う。
「・・・僕のせいだ・・・僕が・・・僕がっ、ちゃんと守れていればよかったんだっ・・・!」
あは~~ん!、とユウは泣き出した。
「泣くな、誰もユウのせいなんていってないだろ?」
マコトが言い聞かせるように言う。
「そうよ。ユウのせいじゃないわ」
カエデがユウの背中をさする。

「・・・というか・・・あのとき・・・お前が新しい技だせば良かったジャンか!パートナーのピンチのときに・・・みんな新しい技だしてたじゃないか!なんでだよ!お前には意識ないのかよ?!」
リョウタがフェネにキレた。
「意識がないわけじゃないです!ヒカリさんのことを、命にかえてでも守りたいですよ。・・・でも・・・でもできないんです。ここで・・・ここで自分が何かしなきゃいけないなんて分かってます!でも・・・でもできないんです!・・・リョウタさんが許せないのも分かりますよ。ユウさんではなく、あたしがヒカリさんを殺したんです!無力なんです。役立たずなんです・・・!」
フェネがリョウタに言い返す。
「分かってるんだろ?!ならせめて体張るくらいしろよ?!無力とか役立たずとかじゃなくって、技が使えなくても、できることあるじゃんか!」
「リョウタ!」
リョウタをとめるカエデ。

「・・・よかった・・!命は助かったよ!」
アキトがほっ、としたように叫ぶ。
「あとはガーゼに脱脂綿・・・」
アキトがポイポイと道具を出す。
「あ、シュウ悪いね、ここお願い」
アキトが用具を手渡す。・・・シュウはそれを手に取ると、作業をはじめる。

「・・・よかった。助かったのね?!」
ハナミが笑顔で立ち上がる。
「あぁ、でも・・・」
アキトがちらっ、とヒカリを見る。
「左右手が骨折、あざもあるし、大量出血でしばらくは意識が・・・」
アキトが無念そうに言う。
「フェネ、いってやれよ。お前のパートナーだろ?」
フェアが言った。
「・・・」
フェネは、黙ってヒカリのもとへ。

「・・・ごめんなさい。あたし、ヒカリさんの傍にいる資格なんて、ないんです」
フェネはヒカリの手を、そっと握る。・・・そうすると、みんなから離れていく。
「どこいくんだよ!」
リョウタが叫ぶ。
「ヒカリさんの新しいパートナーさがしてきます。もう、これ以上・・・ヒカリさんに泣いてほしくないです」
フェネはどこかに飛んでいった。
「あ、おいゴラ、待ちやがれ!」
リョウタがいうも・・・フェネには届かなかった・・・。

・・・その夜

「・・・ヒカリに・・・なんていったらいいのかな・・・」
カエデはすっかり落ち込む。
「あたしも、意識ない間にフェンがいなくなってたら、泣いちゃう」
ハナミがそっと言葉をもらした。
「アイツの勝手ジャン・・・でも・・・」
リョウタはとぼとぼとしている。
「なんでフェネだけ特別なんだよ。フェネが普通のヤツだったら、こんなことにはなんなかったのにな」
アキトが言った。
「・・・ちくしょ~~~~~~~!!!!!!!!」
リョウタが叫んだ。

リョウタの叫びは・・・遠くまでこだました。


・・・フェネの残した手と手の感覚は・・・ヒカリに届いているのだろうか・・・。

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