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♯19 過去
2006-12-03 Sun 21:10
全員の顔がどんどん青くなっていく。
「・・・どうするのよ・・・」
カエデが座り込んでしまった。
「どうすんだよ!リョウタ!マコト!責任取れよ!ヒカリが怒っても、オレに責任はないからね!」
アキトはかんかんにキレている。
「そうよ~おとなしい人ほど怒ると怖いっていうし。~あーぁ、だから静かにしてってゆったのに。ハナミ、し~らない!」
ハナミはそっぽを向く。
「・・・おにいちゃん、だからケンカはよくないんだよ」
ユウはマコトの服をひっぱりながら言った。
「・・・」
リョウタとマコトは何もいえなかった。
・・・引き裂かれた黒帯は、リョウタとマコトのココロの距離なのかもしれない・・・

・・・次の日

「いきましょうよ、早く探さないと」
カエデはとっとと出発するさんだんだ。
「だな。いこう」
アキトがあとに続く。
「・・・」
リョウタは黙ってその黒帯を見つめる。
「リョウタ~。そのことは、ヒカリに謝ればいいじゃない。許してくれるよ~きっと」
フェアが言った。
「あぁ・・でもっ」
リョウタは、自分の不注意を感じて・・・手を握った。・・・その手は震えている。
・・・マコトもそれを感じているのか・・・何も言わない。
「それにヒカリだって、ナメクジに黒帯しかけたってことは、こうなることだって予測できてたはずだよ。ヒカリなら大丈夫だって。リョウタと違って、バカじゃないから」
いつもなら、ここでリョウタがのってくるのだが・・・今日はのらない。

「いやぁ?!」
ハナミがかん高い声を上げた。
「・・・まただよお兄ちゃん!巨大ナメクジっ!」
ユウがみんなのもとへかけよる。
「また?!・・・攻撃がきかないんじゃまともに戦えないし・・・」
カエデが困り果てる。
「逃げよう!」
アキトがみんなに指示する。
「もう走るのヤダ~~!」
そう言いつつも、一番必死になっているハナミ。
「あ!」
リョウタが叫んだ。
「どうしたの?!」
カエデが振り返る。
「黒帯おとしちまった!」
リョウタはあわてて拾いに行く。
・・・黒帯を手に取り・・・ほっ、としたそのとき・・・
「リョウタ!!!!!」
カエデが叫ぶ。
・・・リョウタのすぐ後ろに・・・巨大ナメクジ。
「イヤァ!」
ハナミは見てられない!というように・・・手で顔を隠した。
(くそ・・・どうしたら・・・)
リョウタは手をぎゅっ、と握る。

・・・そのときだった!

ウゥン・・・・!

ナメクジが転倒した。
「何っ?!」
カエデが顔を上げる。
・・・全員の瞳に見えた・・・黒い髪。長くキレイな足。そして・・・まっすぐな黒い瞳。
「ヒカリ!」
リョウタが驚くように目を見開く。
・・・ヒカリはなんと!ナメクジに空手で対抗して勝ってしまった!
「・・・さすが・・・黒帯なだけあるね・・・」
アキトは唖然としている。
・・・ヒカリはすぐに立ち去ろうとする。
「まてよ!」
リョウタがヒカリの手をつかんだ。
「・・・逃げんなよ」
リョウタは息を切らす。
「そうよヒカリ。どうしたの?」
カエデが心配そうな目で見つめる。
「・・・夕方か。時間流れるの早いな~、ここ。・・・ユウとハナミはボクと食料調達にいこっか」
アキトはそういうと、ユウとハナミと一緒に、その場を離れた。

「なぁ、どうしたんだよ。ピコフェアとなにがあったんだ?」
リョウタがヒカリに聞いた。
「・・・ピコフェアに会って、愛がないとフェアッチは光らないって言われたの」
ヒカリはそっと口を開いた。
「愛がないって・・・普通に生活してれば愛なんて・・・」
カエデが身を乗り出す。
「見たの・・・見せられた。みんなの私生活っていうか・・・愛のもらいかたみたいなの」
ヒカリの体が震える。
「オレらの生活とどこが違うっていうんだ?!お前だけ愛がないなんて・・・」
マコトが言葉を放つ。
「マコトさん!そんなにヒカリさんが悪いみたいな言い方しないでください!」
フェネがすかさず言った。
「別に悪いなんて・・・」
マコトがそっぽを向く。
「落ち着けよ。どっか行きたくなるほどヤバイ生活なんだろ」
シュウが冷静に止めに入る。
「・・・で、その過去ってのはなんなんだ?」
リョウタが聞く。
「・・・あたし・・・」
ヒカリが過去を話し始めた。


・・・昔・・・ヒカリには姉がいた。
『出井花ミキ、また全国制覇!』
・・・新聞でも活躍は取り上げられ、テレビにも出演するほどだった。
なんでもできた姉だったためか、ヒカリのことをかまってる暇など・・・親にはなかった。
またヒカリ自身も、姉を尊敬していたためか・・・そのことを気にせずにいた。
・・・しかし

ププウウウウウウウウウウウウウ!!!!!

・・・姉は事故死してしまった。
親はそれをトラウマとした。
・・・ヒカリはそのトラウマを治そうと・・・自分が姉のように完璧になろうと・・・努力した。
なにも知らないまわりは・・・完璧になったヒカリをほめたたえるだけ。
しかし親は・・・ヒカリの成績、テスト・・・なにかが起こるたびに・・・姉とヒカリを比べた。
95点以下をとったもんなら、
『何なのこの点数!あぁ・・ミキがいきていたら・・・』
親はそういうと・・・部屋に入っていってしまう。
・・・遊びなんて知らなくてもいい。
完璧になることが・・・親への恩返しだと。

・・・そんな生活が続き・・・ご飯も食べようとしない親になってしまったため、ヒカリは自分でレトルトの料理を食べることが多かった。

ミキしか頭にない親。・・・ヒカリに愛を与えることはなかった・・・。


「・・・っていうこと」
ヒカリはそういうと、頬に静かにしずくを流した。

・・・みんななにもいえなかった。

風の音だけが・・・全員を包んだ。
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