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♯100 成長の夏
2007-04-09 Mon 21:50
・・・ついに、ついにこの瞬間がやってきた。
すべてを倒し、すべてが平和になる瞬間だった・・・
・・・・・・しかし、すべてが平和になるということは、子供達に、最後の残酷な現実が押し付けられるのと同じだった・・・・・・

『よいかのぅ。焦らず聞くのじゃ』
ハーミンは、全員を落ち着かせて言う。
『よいか・・・あと2時間で、この世界と人間界へのつながりが切れる・・・あと2時間で、この世界を離れなければならないというわけじゃ』
「えっ?!」
ハーミンの言葉に、全員が声を上げる。
『つらいじゃろうが・・・パートナーと別れなければならないんじゃ・・・』
「ちょっとまって!でも、ここの世界の時間は、人間界の世界より、何十倍、何百倍も早いんでしょ?!それなら、人間界の時間になおせば、何日、何ヶ月いられるってことよねっ?!」
突然の言葉に、抵抗するハナミ。
『それが・・・時空のゆがみで、人間界とこの世界の時間が統一されたのじゃ・・・つまり、今まで時間が早かったこの世界も、今では人間界と同じに・・・』
「そ・・・そんな・・・」
・・・突然の別れ宣言に、ショックを隠せない子供達。
『2時間後・・・繋ぎの谷前へ集合じゃ。もう繋ぎの谷からは人間界へ帰れんが、谷の力とわしの力で、空から帰れるようにしてやろう』
それだけ残し・・・ハーミンは消えた。


・・・子供達は、それぞれ、別れを告げるために、バラバラになった・・・。


「カエデ・・・これから、一緒にいられると思ってたのに・・・」
「うん・・・」
・・・木の上で話しているのは、カエデとフェミだ。
「・・・あたし、この世界にきて、いろんなことがあったけど・・・この世界にきてよかったって思ってる。それは、フェミがいてくれたからよ・・・ありがとう」
カエデは、笑顔を作って言った。
「~~~・・・カエデぇぇぇえええ!!」
・・・カエデの胸元で、泣き崩れるフェミ。
「ごめんなさい!あたし、甘えてばかりで・・・カエデに迷惑ばかりかけて・・・」
「ううん。そんなことなかった・・・甘えられるのも、1つ1つの言葉も・・・嬉しかったよ・・・」
・・・2人は、溜めていた涙を一気に出した。


「・・・結局・・・この旗、意味なかったね」
「そやな~・・・いつやったけな、この旗さしたのうて」
・・・そのころ、海岸方面にいたアキトとフェロは、昔にさした旗を見て言った。
「そう。まだ、この世界にきたばかりのときに・・・ピンチになったらここにこようって言ってさしたんだけ。結局ここに来ることはなかったなぁ」
苦笑いで言うアキト。
「アキトはん。むこういったら、受験勉強、頑張ってくだはいよ」
「それは言うなよ~ますます帰りたくなくなるじゃないか」
フェロの言葉に、ますます苦笑いのアキト。
・・・・・・しばらくの沈黙。
「最後に・・・握手、しよっか」
「どないしたんでっか?急に」
アキトの言葉に、きょとん、とするフェロ。
「いや。なんか・・・感覚がほしくなったんだ・・・」
少し照れくさそうに言うアキト。
「ほな!」
フェロは、ちょっと迷ったあと、手を差し出した。
「ありがとう・・・お互い頑張ろう!!」
アキトは、その手を握り返した。


「いやだよぉ~~!フェムと離れるなんて、いやだぁぁああ!!」
「僕もだよ~!もっとユウといたいよぉぉお!」
・・・ユウとフェムは、2人して泣きじゃくっていた。
「うわぁぁああん!!会えないのいや~~!!」
「ユウ!!・・・もう1回、もう1回会えるって言って~~!!」
泣いて声をからすユウに、最後のお願いをするフェム。
「・・・え?」
「もう1回!もう1回会えるよってユウが言ってくれれば会える気がするんだ~~!!」
泣くのをやめるユウに、泣きながら言うフェム。
「・・・そっか・・・そうだよね!また、会えるよね!!」
「うん。約束・・・約束してねぇ!」
笑顔で言うユウに、言葉を発するフェム。
「うん。また、会おうね」
・・・2人は、指切りをした・・・


「信じられない!!お別れなんてイヤ~~!!」
座って泣いて叫ぶのは、ハナミだ。
「ハナミ~落ち着いて~あたしも悲しいけどさ~」
「いやいやいやったらい~~~や~~~!!残る!!あたし、ここにのこるぅぅぅうう!!」
落ち着かせようとするフェンには見向きもせず、泣くばかりのハナミ。
「ハナミ!マコトとのラブラブ生活送れなくていいのっ?!」
「いやっ!!」
フェンの質問に、即答するハナミ。
「それなら、この世界になんか残っちゃダメ!ハナミには、まだまだいっぱいやることあるじゃない!!ほら!これ食べてっ!」
フェンは、木になっていた実を取る。
「・・・・・・あ、おいしいっ!!」
ハナミは、夢中になって食べる。
「ねっ!ほらほらぁ~!おみやげに持って帰ってら~?」
「うんうん!そうするっ!!」
・・・いつも通り、最後は笑い合う2人だった。


「・・・・・・最後だな。こうやって、隣同士で寝転がるのも」
「あぁ。そうだな・・・」
マコトの言葉に、そっけなく言葉を返すフェマ。
「そんなこんなで、終わりなんだ・・・お前と出会えて、よかったと思ってるよ」
マコトは、起き上がって言った。
「改まって言うなよ。オレもだよ」
ぷっ、と笑って言うフェマ。
「お前、これからどうするんだ?」
「さぁな・・・」
マコトの質問に、遠くを見て答えるフェマ。
「・・・まぁ、お前は、ハナミとの生活を円満に過ごせばいいさ」
「円満って・・・」
フェマの言葉に、苦笑いするマコト。
・・・お互い、その後はあまり話さなかった。


「・・・なんか、寂しいですね」
「そうね・・・」
フェネの言葉に、頷いて言うヒカリ。
「あ、向こうの世界に行ったら、ご両親とお幸せに過ごしてください」
「うん・・・ありがとう・・・」
微笑んで言うフェネに、言葉を返すヒカリ。
「あ、そうでした。これ。預かってたんですよ」
フェネは、何かを取り出した。
「・・・これ、どうしたの?」
フェネからもらったのは、誰かのネックレスだった。
「これは、ケンさんから渡してくれと頼まれたものです・・・自分が、いつかヒカリさんと離れるときに渡してくれと言われました・・・デビフェア戦が終わったときに渡そうと思っていて・・・」
思い出すように説明するフェネ。
「想い出・・・そこに閉まっておいてくださいね」
「うん・・・忘れないわ。ありがとう」
・・・お互い、微笑んで言った。


「短い間だったけど・・・ありがとう」
「ううん。礼を言うのはこっちのほうだ。アミといれてよかった」
・・・まずは、お礼のあいさつから。
「・・・そうだ。これ!これ、あげる」
・・・アミは、自分の手につけていた指輪をはずした。
「これね。おばあちゃん・・・寮のおばあちゃんからもらったの・・・今では形見になっちゃったけど」
アミは、俯いて言った。
「え、でも、それは大事なものなんじゃ・・・アミが持ってないと、想い出が消えるような気がするんだ」
フェスは、首を横に振った。
「そう?・・・ならあたしが持ってようかな・・・あっ!!」

カラカラカラ・・・

・・・指輪は、崖の下に転がっていった。
「・・・あちゃぁ・・・でも、しょうがないか・・・」
アミは、残念そうに言う。
「拾ってくる!」
一瞬の迷いもなく、フェスは飛び降りた!
「えっ?!フェス~~~!!!」
・・・フェスは、その声に反応しなかった。


「・・・あ~ぁ。お別れか~早いね~」
そのころ、ぽつりとつぶやいていたのは、フェナ。
「・・・ねぇ。最後にさ、もう1回聞きたいよ。ハーモニカ」
「好きだなお前・・・まぁ、いいけど・・・」

・・・これが、これが最後のハーモニカ・・・

「・・・うっ・・・ひっく・・・」
・・・自然と涙がでるフェナ。
「何泣いてんだよ。自称、ココロはクールなんじゃなかったのか」
「なんでそんな昔のこと覚えてんのさ~。もう、涙がわんさか涙祭りだ~」
呆れたように言うシュウに、涙を流すフェナ。
「・・・全く、そこらのガキとかわんねぇヤツだな・・・ほら、これ、やるよ」
ため息をついて、シュウは、何かを渡した。
「ううぅ~。・・・えっ?!ハーモニカ、くれるのっ?!」
フェナは、驚いて叫んだ。
「・・・でも・・・両親からもらった、最初で最後のプレゼントでしょ?こんな大事なもの・・・」
「次会う時に、どこまで上達してるか見んのもなかなかだろ。まぁ、オレは、ドレミの歌もできないにかけるけど」
心配そうに言うフェナに、軽く笑って言うシュウ。
「なにさソレ~~!!いいもん!次会う時、目ん玉飛び出すからねっ!」
ムキになって言うフェナ。
・・・いつも通り・・・いつもと一緒にさよならしよう・・・


「ははは。別れだなっ!」
「そうだねっ!別れだ!」
リョウタとフェアは、お互いを見詰め合って言う。
「お・・・オレは寂しくなんか・・・」
「ぼ・・・僕も寂しくなんか・・・」
・・・2人とも、強がってるのが丸分かりだ。
「・・・あ゙~~!!いいかっ!もう会えないなんて言うなよ!」
「分かってるよ、リョウタ!」
リョウタの言葉に、力強く答える。
「本当は・・・オレ・・・」
「僕も・・・本当は・・・」

・・・ひっく・・・うぅっ・・・

2人とも、震えた手で、お互いを抱きしめた。
・・・ありがとう・・・さようなら・・・
・・・言えない想いをこめて。

・・・繋ぎの谷前

『みんな、用意はよいか?』
ハーミンが、聞く。
「もう少し・・・もう少しだけ!・・・」
カエデは、必死に説得。
「フェス~~!!どこいっちゃったのよぉおお!あはぁ~ん!」
・・・なんと、フェスが戻ってきていなかった!
『時間は・・・厳しいのぅ・・・』
ハーミンは、困ったように言う。
「諦めちゃダメだよ!!フェスは絶対くるよっ!!」
強気で言ったのが、ユウだった。
「・・・僕・・・デビフェアに勝ったら・・・渡すって言ったよね。これ」
ユウは、あの時の、虹色の羽を出す。
「お前・・・まさかフェスが・・・」
「そんなわけないでしょっ!!」
リョウタの言葉を、かき消すカエデ。

「これ・・・アミさんに渡すって決めてたんだっ・・・なんにでも諦めない姿は・・・憧れの姿そのものだったんだ・・・あの時、ネズミさんが倒れたとき、すぐに立ち上がって、敵に向かっていったでしょう?・・・だから、だから諦めないで!!」
ユウの力強く、意外な言葉に、驚きを隠せない周りのみんな。
「・・・あはぁん!!もう、なんて言ったらいいか分かんないけど、ありがと・・・あはぁぁあん!!」
・・・ユウによりそって、おーいおいと泣くアミ。

「あ、あたしもっ・・・リョウタ・・・あのね・・・」
カエデも、リョウタと向かい合う。
「ん?なんだ?」
リョウタは、いつもと変わらぬ顔で言う。
「あ、あたし・・・リョウタが・・・す・・・す・・・」

・・・バカみたい・・・好きなんて・・・たった2文字なのに・・・

「・・・スキ・・・・・・すき焼き!!今度みんなで食べに行こうねっ!!」
「はぁぁぁああああ?!?!?」
カエデの言葉に、思いっきり滑るみんな。
「カエデ!せっかくスキって言えたのに・・・すき焼きっ?!」
「だって、恥ずかしいんだもん!ユウみたいになんて言えないっ!!」
・・・ハナミとカエデは、小声で話す。

『時間じゃ!!このオーロラにのれば、人間界へゆけるぞ!』
ハーミンは、叫んで言った。


・・・本当に・・・いろいろなことがあった・・・
時にはお互いを傷つけて・・・それでも壁はやってきて・・・
結局最後は、みんなで力を合わせて乗り越えた。
・・・全く、性格も、住んでいる環境も違う9人の仲間・・・
この世界を救ったのは・・・9人の団結の証。
・・・そうであると、みんな信じている・・・


「っ・・・フェス~~・・・」
アミは、オーロラの中で泣き続ける。
「アミ・・・」
みんな、それしか言えなかった。

アミィィィィィィイイイイイイ・・・!!!

「!!・・・フェスぅぅううううう!!!」
・・・フェスは、ボロボロになって、アミのもとへやってきた!
「これ、見つけたから!」
フェスは、アミに指輪を投げた。
「・・・ありがとうっ・・・さようならっ!!元気でね!!」
「アミもっ・・・あっ!!」

・・・!!!!

フェスぅぅぅぅぅううう!!

バサッ!!!!


・・・転んだフェスを見て、叫んだアミ。
その時・・・・・・2枚の虹色の羽が、宙を散った。


『さようならぁぁぁあああ!!』
『みんな、元気でねぇぇえええええ!!!』


・・・子供達は・・・空へと消えていった・・・





・・・こうして、9人の子供達の成長の夏は終わった・・・
苦しいことにも、悲しいことにも、数え切れないほどぶつかってきた。
しかし、子供達は知った・・・つらいことを乗り越えるのに必要なもの・・・それは、何よりも自分を信じることであり、周りを信じることであることを・・・・・・

・・・・・・また、会える・・・・・・

そう信じていれば、妖精達へとつながる扉は、きっと開かれる。

・・・そう。フェアリーモンスターと子供達の旅は、これで終わらないということ・・・・・・


また会える・・・そう、信じたとき・・・いつか・・・・・・また、ドラマは生まれる・・・


・・・成長の夏で得たものを・・・・・・忘れていなければ。
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